Vietnamびじねすりぽーと

ベトナムで生活する若者が綴る、安定的に肉を手に入れるまで。

キングオブコント2014感想

久々にお笑いコンテスト番組を見ました。

「キングオブコント2014」

サッカーと野球以外の映像を写せて、うちのテレビも嬉しそうでした。

 

その前にやってたU-19サッカー日本代表が魂足りてたので、私も大変気を良くして視聴していたのですが、いやはや非常に面白かった。

お笑いファンでなければ決勝進出者の大半を知らないという地味なメンバーからも、コンテストのガチ感が伝わってきました。

大半ってか全然知らねぇ。

 

近年は、シンプルなボケツッコミはやりつくされたのか、以前とは違うタイプのコントを目にする機会が増えました。

ムリヤリ表現すれば、舞台基礎体力をベースにしたシュールなシチュエーションコメディとでも言いますか、そんな感じのものが増えたように思えます。

昔はバナナマンとかアルファルファとか、あんまり多くなかったけど、今は舞台基礎体力のある人が増えたのではないでしょうか。あと、チョップリンとか。ラーメンズもか?なんだ結構いたんじゃん。

まぁでも、今大会は方向性が明確だったのかなぁと思います。

だとすれば演劇性の薄い、流れ無視して空気を破壊する天竺鼠が落ちたのも納得ですね。じゃあジャルジャル受かるはずじゃんって言われても知らん。

とにかく芸人の皆さんの芝居が上手い!はっきりとした演技力がある人もいましたし、自分のキャラからの距離感も冴えていた印象です。

その分、多少キャッチ―さを欠いており、賛否両論ある大会だったかと思います。

あと多くのコント屋がそうであるようにトークが絶望的。

去年の天竺鼠の「まぁ高校ん時の方が楽しかったけどな」みたいな、いつかの笑い飯の「一歩も動かへんぞ!」みたいな、そういう隙間の埋める部分も面白ければ、なお良かったです。「おつかれちゃーん」の流れは最早、様式美。

 

以下、個別の感想。

 

シソンヌ

一本目、激しい訛りなのに露骨さもなく言葉を伝えられるセリフ回しは圧巻でした。そもそも4分しかないので「30秒以内に掴めるか」ってとこを、笑いでも人の出入りでも設定の説明でもなくて、芝居のギリギリアリティによる興味で持ってったのが凄いです。

「神様じゃ?」から音使ってまで展開するとみせかけて展開しないってとこでキッカケを掴めず場が流れたときは内心焦ったと思いますが。てかあれキッカケ取れないでしょ。カメラも寄ってやれば良かったのに。

二本目の車の向き、助手席外しも躍動感があって良かったです。女キャラも極端なデフォルメをせずギリギリアリティをキープ。あの制限状態で躍動感を出せるのは本当に上手い証拠ですね。

賛否両論あると思いますが、本当に見て良かったです。

一本目と二本目のラストが繋がってるとかそういう小細工はどうでもいいっすね。

トークは絶望的。

 

巨匠

煽りVTRも利用した自虐的な設定やキャラ、ダークさは秀逸でした。

ただ賭博ダメオヤジってキャラ設定がシソンヌと被った上に、こっちはそれが話のメインという運のなさ。運のなさってか事前にわかってたはずだけど。順番が逆だったらどうなっていたかわかりませんね。

動きの部分でコナレてないというか、手持無沙汰というか、その身体的な部分でシソンヌに軍配が上がったのではないでしょうか。

 

ラバーガール

明確なスタイルを持っており、二本とも安心して楽しめました。以前は、CUBEとか磁石同様、出塁率主義なので多少単調な気もしてまししたが、ツッコミ(?)のパターンも増えて緩急がついて面白かったです。顔芸のくだりなんかホント絶品。

話展開させて芝居変えるとグッとアレな感じになるので、この道を究める方向にしたんだと思いますし、私はそこが好きです。

 

リンゴスター

声張り出したあたりで見るのが辛くなったので離席しました。

昔、初めてブラマヨ見たとき、人差し指グネグネさせながら「俺、お前のことが、好きやねん」「なんやねんその指!」とかやってた印象が悪すぎて、05M-1ブラマヨの途中まで音量下げてました。結果はご存じの通り、地響きのような笑いを取っての優勝でしたが。

人間、第一印象って大事だよね。

 

バンビーノ

衝撃の全国デビューでしたね。

 一本目は激烈でした。途中ルールを説明したと見せかけて放棄する(社長は腕を振ったら寄るんじゃねぇの!?)など、意図的な理不尽さなのかミスったのか本当に馬鹿なのかわかんない、そのドキドキ感も素晴らしかったです。

二本目は一本目に比べてフックに欠けましたが、ハグの動きはザンギのスクリュー投げ漏れみたいな、やっちまった感が出ててとても好きでした。あぁフルコン確定やぁみたいな。舞台サイズを使い切った唯一の組だったのも好感が持てました。Stage2は多分、”拒否”を”トルネード”で潰して硬直に”ハグ”刺すんだと思います。

トークは絶望的というか、うちの会社のベトナム人の方がまだ面白い。

 

さらば青春の光

設定がとても良かったですね。またもや賭博ダメオヤジかと思いきや、異質な展開。直接的な下ネタを間接的に使うというメタ的な流れ、ちんこって言ってちんこが笑いどころでない、というのもまた良かったです。それやっといて最後は思いっきりストレートっていう。

前回までだとやたら上手く見えてたけど、今回のメンバー構成で見ると、言葉の立て方が仰々しいというかワンパというかそんな印象を受けてしまいました。やっぱり全体のレベル高いよなぁ。

 

ラブレターズ

結果は惨憺たる数字でしたが、内容はとても良かったと思います。

煽りVTRのせいで笑いにくくなってたけど、内容はとても良かったと思います。

多分、実際はもっと長くて、倍くらいやった方が面白い内容なので、せっかくの素敵な展開が尺に収まってなかった印象を受けました。少年の絶望⇒悲しみ⇒怒りへの転化とか。そこが犬の心との違いだったというか、大会方式と相手が悪かったってだけで、内容はとても良かったと思います。

 

犬の心

一本目のあの短い時間で展開させる本はホント素晴らしかったです。今日イチだと思います。

本筋と直接的な繫がりの無い設定、過去を提示していくっていう手法は、面白いし流行ってるんですかね。

ただ、一本目、二本目共に先輩後輩っていう設定だったのは非常に残念に思いました。17年の幅をもっと見たかったです。”京都アニメーション”で言ったった感出されても。

 

チョコレートプラネット

一本目はシュール系設定を、小道具と演技力でバシッと仕上げてて素晴らしかったと思います。本当にそういう業者にしか見えない堂に入った演技で、尺をやり切っていました。犬の心一本目同様、完璧な4分間に思えました。

二本目は、一発系。私はよくできているとは思いませんでしたが、とても評価は高かったようです。ちゃんと見てないリンゴスターを除けば、今日一番”安い”作りだったと思ったんですが。

 

アキナ

フレーズ一発系かと見せかけて、やっぱりそんなはずなかったです。

あんな、良い意味でのモヤモヤ感は、なかなか出せんでしょう。

ただ、一番場が展開する「満足した?」の真顔リアクションで横を向いちゃってたのが残念。舞台で人の顔を見つめるって見せ方難しいですよね。どうすればいいんですかね。

 

 

 

まぁとにかく面白かったです。

なんでもそうでしょうけど、「舞台としての魅力」か「爆発力のあるボケ」か、みたいな多項対立からオールマイティな文法が立ち現われてくると思うので、今後の「お笑い」の展開が楽しみです。新たなお笑い像を提示する”ダウンタウンの孫”が出てくるんでしょうね。楽しみ楽しみ。

あと、もちろん南野も良かったけど、金子翔太すごかったですね。