Vietnamびじねすりぽーと

ベトナムで生活する若者が綴る、安定的に肉を手に入れるまで。

【読書感想文】高慢と偏見 

最近読んだ本の感想文。

今回は「高慢と偏見」

(河出文庫 阿部知二訳)

イギリスで1796年くらいに書かれた、ジェーンオースティンの長編小説です。

彼女は10ポンド札の肖像になるほどの国民的作家だそうで。

日本でいうと一葉くらいですかね。

 

高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)

高慢と偏見〔新装版〕 (河出文庫)

 

 

 

あらすじ(ネタばれあり)

 

ハロー!私エリザベス。ベネット家のとっても賢い次女よ。

本好きのパパと、娘の玉の輿しか興味ないヒスなママと、

顔も心も美しい姉のジェインと、あと馬鹿な妹たちに囲まれて暮らしてるの。

 

最近、若くてお金持ちなビングリーさんが近くに越してきたんだって。

会ってみたら超いいやつでジェインとお似合い。

でもその友達のダーシーってやつ、むかつくー。

あと今は軍隊さんも町にきてて、ウィカムって人かっこいいー。

聞いたらウィカムはダーシーにいじめられたんだって。

やっぱダーシー超むかつくー。

 

んでぺラい男が来て求婚されたり、そいつが親友と結婚したり、

ビングリーがロンドンに帰ったり、親友の新居遊び行ったり、

そこでまたダーシーに会ったり。

またお前かよ。

 

ここで衝撃の事実!

ビングリーが帰ったのはダーシーがジェインとの結婚を邪魔するために決めたって!

ふざけんなよとっちめるぞ!

ここで更に衝撃!

ダーシーから求婚されちゃった!

なになにもうワケわかんないんですけど!

もちろんこんなやつお断りだわ!

そしたらダーシーが手紙書いてきたの。

読んで更にびっくり、

ジェインのこともウィカムのことも私の勘違いだったなんて。

あぁ偏見を持っていたのは私なのね。

 

一度さよならしたけど、また別件でダーシーにあったり。

あぁ恥ずかしい顔から火が出そう!

と、ここでまた衝撃のニュース!

妹がウィカムと駆け落ちした!

あかんあかん!

~略~

とまぁ色々あって

 

ダーシーと結婚します。

 

おしまい

 

 

感想

 

あらすじ書いて思うけど、長い。

最後はしょった。

いろんな事件がおきます。

そのなかでエリザベスのキャラクター、ダーシーへの思いの変遷が描かれており、それが多分この作品を名作たらしめてるんでしょうね。

 

昔の作品ですので何にしても言えますが、当時の価値観や風習というのがとっつきにくい。

相続、結婚観、パーティー、身分などなど、額面上一億総中流男女平等社会を生きる我々には身近なものではなく、そこを理解していく楽しみもありますね。

 

ここがGood!

・キャラが立ってる

結構な人数が出てきますが、キャラが分かりやすくてよいです。

賢いベス、綺麗な姉、バカ妹、高慢ダーシー、いいやつビングリー。

そういった類型的な造形である一方、

賢いけど生活の為結婚するシャーロット、

実は悪いやつウィカム、

実はいいやつダーシー、

などギャップで掘り下げており、またその見せ方が上手いので非常に魅力的です。

 

・やっぱ愛だよね的な分かり易さ

生きる為の結婚Vs愛のある結婚という構図であり、あらゆる壁を乗り越えて愛が芽生え成就するというのは、まさに恋愛モノの教科書!

エピソードの複雑さの中に、偏見⇒恋という一本筋が通ってるので凄い分かりやすいですね。

 

ここがBad!

 

・ダーシーへの感情の切り替えがなんか安い

手紙貰って、勘違いだったんだ、いろいろあってダーシー様素敵!

って安易だと思うの。

エリザベスがバカに見える。

 

恋が芽生える⇒伝える⇒結婚

という当時の破竹のプロセスは、愛情を育むプロセスを重要視する現代の恋愛観と遠すぎて、エリザベスがバカに見える。

 

・文章が読みにくい

とにかくコレ。

問題はコレ。

めちゃくちゃ読みにくい。

例えに形容詞のせて更にそれを修飾してと、もう回りくどい。

ベスやダーシーの作中賢い人物のセリフだけでなく、地の文も冗長に感じる。

文字も異常に多い。

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なんだこれ。

改行しろ、改行。

 

ディケンズもそう感じたので、イギリス勢に通底する方針なのか、

それともカント「純粋理性批判」なんかでよく言われる、訳の問題であって原文の方は全然分かり易い的なあれか。

 

と思ってちょっと調べてみました。

↓原作の序文だそうです。

It is a truth universally acknowledged, that a single man in possesion of a good fortune, must be in want of a wife. However little known the feelings or views of such a man may be on his first entering a neighbourhood, this truth is so well fixed in the minds of the surrounding families, that he is considered as the rightful property of some one or other of their daughters.

 

え?

何?

って感じ。 

全然わかんない。

 

こういうのが流行ってたんですかね。

そもそも私、英語わからないんですけどね。

200年前の英語なんで読めなくてもしょうがないですけど。

てか阿部知二訳って何にしても読みにくいんだよ。

阿部が悪いよ阿部がー。

 

文章は多少鬱陶しいけど、やたら完成度の高い恋愛時代小説の教科書、ということでしょうか。

名作とは言っても、娯楽作品なので気軽に読めると思います。

 

ちなみにジェーンオースティンは生涯未婚。

今でいうと、

喪女がモテなさすぎて想像力が凄いことに!

って感じか。

 

評価:★★